精神鑑定は科学ではなく、証拠でもなく、推測に基づく意見にすぎない。
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ここで科学的と言ったのは、検証反復可能性のことだ。
同様の検証や実験を他の専門家が何度やっても同じ結果が得られる、
という事態を指して私たちは科学的と呼んでいる。
だが精神鑑定は、科学的検証に全く耐ええない。
結論は専門家によって異なる。
あるいは学派によってあらかじめ決められている。
精神鑑定は科学ではなく、証拠でもなく、推測に基づく意見にすぎない。
――日垣隆 『そして殺人者は野に放たれる』
*読前:「心神喪失」の名のもと、人を殺しながら何事もなかったように舞い戻ってくる殺人者たち。封印された事件の真相に迫り、この国の無法ぶりを暴く衝撃作。
**読後:★★★ 具体的な裁判事例を通じて現行刑法の不条理を明らかにしつつ、著者のライフワークともいうべき、刑法39条の削除、精神障害犯罪者の処遇施設の設置等の必要性について書く。
刑法 (明治40年4月24日法律46号)(平成7年5月12日法律91号=現代表記)
39条
1 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
「ノンフィクションの本来の役目は誤りない事実の指摘と分析であって、社会を動かすことでも世論を誘導することでもない」(溝口敦)が、しかし結果として世論が動き出してほしいものだ。
***日垣隆 『そして殺人者は野に放たれる』新潮社・2003.12.20発行
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