もう「友情」は死語かもしれない。
「現代の文学作品には、どうも友人があまり出てこない。どうしてなんだろう」
と高橋英夫は呟いているが、現代ではもう「友情」は死語かもしれない。
かわって町にあふれているのは「恋愛」であり「セックス」である。
ほんとうに「友情」はどこへ行ってしまったのだろう。
――川本三郎「友情の季節」『あのエッセイこの随筆』
*読前:随筆に憩ひあり。「読む」だけでなく、歩き、眺め、想い、味わう―エッセイの心ふくらむ、そんな楽しみ方。無為の時間の中に心を遊ばせ、日々の暮らしの中に日だまりのような時間を見つけたエッセイ集。
**読後:★★★ 「あとがき」が随筆論になっていておもしろい。いわく…。
・ 随筆はのんびりしていればいるほどいい。
・ コラムというものが「流行」を題材にするとすれば、随筆は「不易」を語る。
・ 随筆は、いわば日なたぼっこや、散歩のようなものである。
・ 「私」という主語が多くなる文章はなるべく避けたい。
・ 随筆のいいものは、たいていは「夏炉冬扇」の精神を持っている。
***川本三郎『あのエッセイこの随筆』実業之日本社・2001.10.25初版第1刷
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