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2005.02.07

「ああ、あれは魚だよ」

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お気に入りのフレーズ(26)


 その時、すでに細川首相と不仲を伝えられていた武村氏(=官房長官)が、
「考えてみると、細川さんを最初に政治家にしたのは石原さんでしたよねえ。〔略〕細川というのはあれはどういう人ですか。つまりその、どんな人間なんでしょうね」
 聞いたので、
「ああ、あれは魚だよ」
 いってやった。
「魚?」
「魚というのはな、痛覚がないんだ。釣り上げて真っ二つに切り裂いても、骨を抜いても、血は流れていかにも無残そうに見えるが、彼等は一向に痛くはないんだよ。それと同じだよ。あの男には痛覚が全くない。つまり人間としての相手に対する謝意がないのだ。感謝でも陳謝でも、ともかく謝意というものを一切持ち合わせていない人間なんだよ」
 いったら相手は膝を打って、
「なるほど、よくわかりました」

―― 石原慎太郎 『国家なる幻影(上)』


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国家なる幻影〈上〉―わが政...文春文庫

■ 読前 
 暗闘、謀略、権力への欲望と無念の死。自ら関わったこの三十年間の政治の真相と人間の情念のドラマを、圧倒的な迫力で記した回想録。

 昭和41年暮れのベトナム行きが、ことの始まりだった。政治への参加を決意して、2年後参院選全国区に出馬、300万票という未曾有の大量得票で当選。私というオデッセイは、政治なる魔の海への航海に旅立った。

 三島由紀夫氏からの公開状、金権田中角栄との対決、青嵐会の結成を経て、福田内閣で環境庁長官に就任する。


■■ 読後  ★★★★
 細川さんは、55歳で総理大臣になり、わずか263日で退く。還暦を機に政界引退。湯河原に不東庵を構え陶芸三昧の日々とか。

 著者に罵倒されている政治家は、上掲の細川護煕だけではない。田中角栄、宮沢喜一、三木武夫、河野謙三、河野洋平、小沢一郎、金丸信……。世間に流布されたイメージと異なる政治家の「器」が描かれている。
 
■■■ 石原慎太郎 『国家なる幻影――わが政治への反回想(上)』1999.1文藝春秋2001.10・文春文庫


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