« 大阪にいる贅沢のひとつは、その両翼に京都と神戸がひかえていることであろう。 | トップページ | 「あのバアサン、まだ生きているらしいでェ」 »

2005.03.01

場内に入り切れないほどの客が押しかけたため、どの回もフィルムを一巻飛ばして、上映回数を一回多くしたほどだ。

okiniiri-1

お気に入りのフレーズ(40)

 
 映画監督の大曾根辰夫は『越後獅子の唄』を聴いて、『鞍馬天狗・角兵衛獅子』の杉作役はひばりの他はないと思った。
 『鞍馬天狗』は戦前から<少年倶楽部>に連載された大佛次郎の人気時代小説で、無声映画時代に映画化され、「アラカン」こと嵐寛寿郎主演で大当りした。
 戦前だけで二十六作も作られたが、戦争のため中断し、このたびシリーズが再開されることになった。〔略〕

 映画は翌年のお盆映画として封切られ、鞍馬天狗シリーズの中でも飛び抜けた観客動員数を記録する。
 どこの映画館も満員で、浅草六区の松竹直営館では、場内に入り切れないほどの客が押しかけたため、どの回もフィルムを一巻飛ばして、上映回数を一回多くしたほどだ。
 観客は、いきなり筋が飛ぶのをおかしいと思いながらも、ひばりの歌が聴ければ満足と、文句も言わずに帰ったという。

―― 吉川潮 『流行歌――西條八十物語』

040-yosikawa

流行歌

■ 読前
 早稲田大学仏文科教授として学生に敬愛される、西条八十。彼のもうひとつの顔は、当代一流の作詞家である。叙情あふるる童謡、帝都の賑わいを描く小唄。戦時下の庶民を勇気づけた軍歌。そして、日本の新生をともに歓喜する流行歌―。

 名曲には秘められたドラマがあった。波瀾万丈の昭和とともに生き、1万5000もの詩を残した作詞家の生涯。

■■ 読後  ★★★
 たまたまNHK-BS2で大曾根辰夫監督の『鞍馬天狗・角兵衛獅子』(1951年)をみたので、「越後獅子の唄」「角兵衛獅子の唄」(ともに西條八十・作詞、万城目正・作曲)の部分を掲出した。それにしても恋に悩む鞍馬天狗が強くなく、したがって主演のアラカンに精彩がなく、美空ひばりのために作られた映画のようだった。

 わたしが選んだ西條八十作詞のベスト10……。

 昔恋しい 銀座の柳、仇な年増を 誰が知ろ……(東京行進曲)
 母さん お肩をたたきましょう、タントン タントン……(肩たたき)
 (ハアー)踊り踊るなら(チョイト)東京音頭……(東京音頭)
 花の嵐も 踏み越えて 行くが男の 生きる途……(旅の夜風)
 貴様と俺は 同期の桜 同じ兵学校の 庭に咲く……(同期の桜)

 若い血潮に 予科練の 七つボタンは 桜に錨……(若鷲の歌)
 若く明るい歌声に 雪崩は消える 花も咲く……(青い山脈)
 君がみ胸に 抱かれて聞くは 夢の船歌 恋の歌……(蘇州夜曲)
 笛に浮かれて 逆立ちすれば 山が見えます……(越後獅子の唄)
 あなたのリードで 島田もゆれる チークダンスの……(ゲイシャ・ワルツ)

■■■ 吉川潮 『流行歌(はやりうた)――西條八十物語』2004.9・新潮社


|

« 大阪にいる贅沢のひとつは、その両翼に京都と神戸がひかえていることであろう。 | トップページ | 「あのバアサン、まだ生きているらしいでェ」 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49381/3125871

この記事へのトラックバック一覧です: 場内に入り切れないほどの客が押しかけたため、どの回もフィルムを一巻飛ばして、上映回数を一回多くしたほどだ。:

« 大阪にいる贅沢のひとつは、その両翼に京都と神戸がひかえていることであろう。 | トップページ | 「あのバアサン、まだ生きているらしいでェ」 »