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2006.11.01

■ なぎさの媚薬(2)―哲也の青春/圭の青春|重松清

20061026nagisashigematu

歩き疲れた頃、繁華街の一画に『懐かしコスプレヘルス』という看板を見つけた。

一九六〇年代のミニスカートやデニムの上下、七〇年代のマキシやニット、八〇年代のテクノ、ニューウエーブ、黒ずくめのマヌカン風……過去のさまざまなファッションに身を包んだヘルス嬢が相手をするのだという。

呼び込みの男が、「お客さんお客さん、八〇年代いかがですか」と揉み手をしながら寄ってきた。「いまならすぐ、八〇年代の女子大生、ご用意できますが……」

黙ってうなずき、呼び込みの男に背中をうながされるまま、店内に入った。

「ウチはディテールに凝ってますから、もう、涙モノですよ。お客さんもアレでしょ、八〇年代に青春送ったクチでしょ。若い頃に戻って、パーッと楽しんでくださいよ。ねっ、ねっ?」

呼び込みの男のはしゃぐ声が、耳をすり抜ける。

八〇年代―? 青春―? 胸が高鳴るどころか、冷え冷えとしてしまう。だから――ここが、いまの自分には最もふさわしい場所なんだ、と決めたのだった。

――「哲也の青春」

■ なぎさの媚薬(2)―哲也の青春/圭の青春|重松清|小学館|200507月|4093796920

★★★

《キャッチ・コピー》

今度こそ、あなたを救い出してみせる。過去に戻れることができるなら。もう一度すべてをやりなおすことができるなら。ぼくは、あの夜のあなたを、抱きたい。不思議な娼婦・なぎさが男たちに見せる、一夜の夢―。待望のシリーズ第2巻。

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