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2006.11.01

■ シシド――小説・日活撮影所|宍戸 錠

20061028shishidoshishido

文部省特選の『警察日記』 は一九五五年二月三日節分の日に封切られた。

日本一豪華な映画館、丸ノ内日活劇場は主演森繁久彌の舞台挨拶と司会に沸いた。岩崎加根子とシシドが呼ばれた。岩崎は清楚で堂々としていた。

コールされたシシドの脚はすくみ、震えている。舞台中央のマイクまでの距離が途轍もなく遠く、長く思えた。(……)

「シシド君、脚が震えてるヨ」

「スミマセン、どうしたら止まるンでしょうか〜」(……)

森繁はシシドの頭を背伸びして押さえた。

「これで、どうだ」

「止まりました (不思議だ)」

手を離したら、すぐ震えろヨッ

森繁はシシドの耳元にそっと囁いた。

「また震えてます」

押さえる、止まる、離す、震えるを三回繰り返した後、森繁は一緒に震えだした。

「シシド君、押さえてくれ、キミのが移っちゃったヨォ」(……)

■ シシド――小説・日活撮影所|宍戸 錠|新潮社|200102月|4104443018

★★★

《キャッチ・コピー》

石原裕次郎の登場で日活が太陽の季節を迎えたとき、シシドはまだ陽の目を見ない役者だった。日活撮影所の黄金時代を綴る小説。

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