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2006.12.07

■ 関西弁講義|山下好孝

20061207kannsaiyamashita

関西弁の尊敬語を代表するこの「~はる」形式だが、京阪神「三都物語」の三つ目、神戸ではいささか様相が異なる。「ご存じですか」が、

京都では「知ったはりますか~」

大阪では「知ってはりますか~」

神戸では「知っとってですか~」〔…〕

「いらっしゃいますか~」は、

京都では「い(や)はりますか~」

大阪では「いてはりますか?」

神戸では「おってですか?」

となる。

これは神戸で「いる」ではなく「おる」が多用されることと関連がある。標準語の、

何、言ってるの?

は、京都、大阪では、

何、言うてんの?

そして、神戸では、

何、言うとお(言うとん)?

最後の「お」には、フランス語のような鼻母音化が観察される。

もし「いる」が使われていたなら、「てはる」形が用いられたのであろうが、神戸および兵庫県西部では「おる」が用いられるため、「てはる」形は存在しないのである。〔…〕

このような敬語体系の違いを見てみると、京都、大阪、神戸の関西三都も、京都・大阪対神戸という図式が生まれそうである。

――「関西弁の統語論」

■ 関西弁講義|山下好孝|講談社|200402月||ISBN4062582929

★★★

《キャッチ・コピー》

関西人は声が大きいのではない。声が高いのである。関西人は関西弁を変えようとしないのではない。変えられないのである―

音韻、文法、語彙。標準語とは異なる独自の体系を持つ関西弁。北大の人気教師がユーモアを交えて綴る、関西弁の教科書。

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