■ インテリジェンス 武器なき戦争|手嶋龍一/佐藤優
手嶋 北朝鮮がミサイルを発射した「Ⅹデー」を日本政府は事前に知っていた――という情報が出回りました。知っていたとしても言わないのがインテリジェンスの嗜みです。しかも、当局は知らなかったのですから、明らかに事実をたがえています。〔…〕
佐藤 ある全国紙は、当時の安倍官房長官がいつでも官邸に駆けつけられるようにハイヤーを雇っていたという事実を載せていました。危機に際して民間のハイヤーで対応するなんて、そんな国は他にないですよ。
ふつうは当然ながら公用車、それも車に乗っている人物を特定されないように、差し込み方式でナンバープレートを替えることができるようになっているか、あるいはナンバープレートのついていない公用車です。それに加えてダミーの車が二台ぐらいあって、それらが常時待機しているのが当たり前。
手嶋 記事では、そのハイヤーを待機させていたということが、危機管理の心構えを示す良い例として挙げられている。インテリジェンスの水準の低さを世界にさらしてしまいました。
――「第三章 日本は外交大国たりえるか」
■ インテリジェンス 武器なき戦争|手嶋龍一/佐藤優|幻冬舎|2006年11月|新書|ISBN:4344980115
★★★
《キャッチ・コピー》
情報こそが戦争を引き起こしも、回避させもする。はたして昨今、日本の弱腰外交は、明らかにインテリジェンスの欠如を露呈し、今、国家存亡の危機にある。「インテリジェンス大国・日本」の復活に向けて、二人の気鋭が知の応酬を繰り広げる!
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