■ 必笑小咄のテクニック|米原万里
国連が加盟各国の国民に対してアンケート調査を実施した。
「他の国の人々が食糧不足に苦しんでいるという状況について、あなたのど意見をお聞かせください」
という、一見単純きわまりない質問なのだが、世界各国で人々が回答不能に陥るという事態が発生した。その理由は以下の通り。
アフリカの多くの国々では、「食糧」という概念を理解できない者が続出した。
西欧諸国では、「不足」という概念を理解できない者が、とくに若い世代で多かった。
社会主義諸国では、「意見」という概念を理解できない者が大半を占めた。
そして、アメリカ合衆国では、ほとんどの国民が、「他の国の人々」という概念を理解できないということが判明した。
――「第六章 神様は三がお好き」
■ 必笑小咄のテクニック|米原万里|集英社|2005年12月|新書|ISBN:4087203239
★★★
《キャッチ・コピー》
短くて人を笑わせる話――単にネタを暗記するのではなく、笑いの構造を理解すれば、臨機応変・自由自在に小咄を創り出せる。
本書では、日本人離れしたユーモアセンスの持ち主である著者が、世間に流布する笑いの法則を突き止めて分類し、自作も含めて豊富な例をあげながら、笑いの本質に迫る。
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