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2006.12.02

■ 耳たぶに吹く風|天野忠

20061202mimitabuamano

(四十三)

十年ほど前のノートに「ペシミズムというのは弱者のナルシズムか」と書いている。理屈が合っているようで、今でもウンとうなずくことがある。

(四十六)

 ごみを捨てに行って、ごみ捨て場で倒れ、ごみのように死んだ人がいる。

(五十)

健康の置土産は老醜である。

(五十一)

 あの人の言葉は汗をかいている。

(六十六)

 人生の至極く浅い水面で、ポチャポチャと泳いできただけの老人。それでも人並みに疲れきった顔をしている。

(百六十一)

 自分の利巧さに照れている人があるように、私は自分の愚かさにうっとりとするときがある。

(百六十六)

 笑うたびに虫歯を見せるような季候。

 隣のあの気むつかしそうな老人は、(うすい壁一枚と小庭を隔てた)洟をかむか、くしゃみをするか、あくびをしているか、それだけで一日を過ごしているようだ、と死後私のことを批評するにちがいない。秋深まる。

――「古いノートから」

■ 耳たぶに吹く風|天野忠199410月|編集工房ノア|ISBN:……(絶版)

★★

memo

 アフォリズム(箴言集)+自筆年譜

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