« ■ ツーダン満塁|矢作俊彦 | トップページ | ■ 司馬さんは夢の中(2)|福田みどり »

2006.12.20

■ 汽車旅放浪記|関川夏央

20061220kisyasekikawa

人は誰でも二十五歳までにすごした文化から自由になれない。

それは檻のごときものだ。流行音楽はビートルズかせいぜいサザンオールスターズまでしか理解できず、マンガは「こまわり君」までしかわからない。芥川賞だけは気にしているが、いざ読めば、何だこれは、不潔だ不快だ、こんなもの文学ではない、などと騒ぐ。進歩的言辞七割、処世訓三割の説教を好む。

そのくせ自分が退職するまで会社がもてばいいや、と勝ち逃げの態度が明白だから、説教にも初老「鉄ちゃん」はかわいいか説得力がともなわない。

私は自分の体臭のなかに、おじいさんのにおいを嗅ぐことがある。しかし、本人の気分はまだ三十五歳なのである。この客観像と自己像のずれの中に悲劇はひそんでいる。どの時代にもそれはあっただろうが、必要以上に老成を嫌い、必要以上に若さを価値と信じた分、「団塊」の衝撃は深いのである。

――「初老「鉄ちゃん」はかわいいか」

■ 汽車旅放浪記|関川夏央|新潮社|200606月|ISBN4103876034

★★★

《キャッチ・コピー》

漱石が、清張が、そして宮脇俊三が描き、人々に愛された鉄道路線の数々―明治期の国鉄、満鉄、そして日本各地を巡るローカル線まで、読んで、乗って、調べて、旅する楽しい時間旅行。

■ やむにやまれず|関川夏央

■ 昭和が明るかった頃|関川夏央

■ 白樺たちの大正|関川夏央

|

« ■ ツーダン満塁|矢作俊彦 | トップページ | ■ 司馬さんは夢の中(2)|福田みどり »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■ 汽車旅放浪記|関川夏央:

« ■ ツーダン満塁|矢作俊彦 | トップページ | ■ 司馬さんは夢の中(2)|福田みどり »