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2007.01.28

■ 職業としての編集者|吉野源三郎

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戦後の出版について岩波さんが力説したのは、新たな総合雑誌を出すことであった。〔…〕

日本には高い文化がありながら、それだけでは祖国の亡ぶのを阻止することができなかったのだ。これは、文化が大衆から離れたところにあって、大衆に影響力をもたず、軍部や右翼がかえって大衆をとらえていたからである。

この過ちをもう、ふたたびくりかえしてはならない。こんどの経験を教訓にして、文化と大衆とを結びつけることを、なんとかしてやらねばならない。岩波書店も、在来のアカデミックなわくから出て、もっと大衆と結びついた仕事をやる必要がある。大衆の文化を講談社ばかりにまかせておかないで、われわれのところでも、総合雑誌にしろ、大衆雑誌にしろ、どんどん出版していこうではないか。これが岩波さんの提案であった。

岩波さんはこう語りながら、こんどの戦争でたくさんの青年たちを死なせたのも、一つには自分たち年輩の者が臆病で、いわねはならぬことを、いうべきときにいわずにいたせいだ、とつけ加えることを忘れなかった。

――「世界」創刊まで

■ 職業としての編集者|吉野源三郎|岩波書店|199501月|新書|ISBN9784004300656

★★★

《キャッチ・コピー》

『君たちはどう生きるのか』の著者吉野源三郎氏(1981年没)は、新潮社、岩波書店で編集者として活動した。戦前、岩波新書創刊に携わり、戦後は雑誌『世界』の編集長として日本の出版史に独自の足跡を残した。その回想の記録を編む本書は、昭和史の一側面をとらえた貴重な証言であり、また今日のジャーナリズムへの厳しい問いかけに満ちている。

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