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2007.02.07

■ 藤沢周平 父の周辺|遠藤展子

20070207hujisawaendou

父の作品についての感想は、読んだ人の思いや年齢、境遇によって、ずいぶん違っているだろうと思います。娘である私には、小説の登場人物の台詞から父と交わした会話が思い出されるのでした。

『闇の梯子』という作品は『暗殺の年輪』が世に出た翌年に執筆されたものです。この作品に出てくる「おたみ」が癌らしき腫物を患い具合が悪くなっていく様子は、父から聞いた生母の話と重なりました。

小説ですから全部が全部その通りではありませんが、清次がおたみの病状を医者から聞いて愕然とする様は、まさに父の姿そのものだったと思います。

自らの暗い過去を封印し、思い出さないようにしている人もいるでしょうが、父はそうではなく、普段、口には出さない代わりに、文章にして作品の中に残したのでした。それは、ある意味で、私のために遺してくれた記録でもあったような気がします。

――「父の作品から感じること」

■ 藤沢周平 父の周辺|遠藤展子|文藝春秋|200609月|ISBN9784163683904

★★

《キャッチ・コピー》

生涯、「普通が一番」と言い続けた父。駄洒落で明るく夫を支えた義母。何気ない日常が宝物だった-。生後半年で生母を亡くした著者が愛情こめて在りし日を語る。ひとり娘が始めて綴った、素顔の藤沢周平。

■ 藤沢周平句集|藤沢周平

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