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2007.02.19

■ 戦争広告代理店――情報操作とボスニア紛争|高木徹

20070219sennsoutakagi

タトワイラーは、私のインタビューに対して、「メディアを味方につけること」というベーカー長官のアドバイスの意図を解説している。

「アメリカには世界中から問題をかかえた国の外相がやってきて、助けてくれ、助けてくれと懇願します。そんなことは日常茶飯事なんですよ。でも、国民の世論のサポートなしに、いちいち彼らの頼みを聞いてやることはできません。〔…〕議会は国民の世論が賛成しない政策には予算をつけません。そして、アメリカ国民に声を届かせるには、なにをおいてもメディアを通して訴えることなんです」

シライクッチ外相の語り口に感動したからといって、それだけで動くことはできない。アメリカ政府を味方にしたければ、米国世論を動かせ。世論を味方につけたければ、メディアを動かせ。それがベーカー長官のアドバイスだった。

〔…〕

「私がメディアとかかわる仕事をするなど、夢にも思っていませんでしたよ。テレビや新聞との会見なんて、自分から最も離れた世界の出来事だと思っていました」

そのとき、シライジッチの頭に、子供のころに聞いたボスニア・ヘルツェゴビナのことわざが浮かんだ。

「泣かない赤ちゃんは、ミルクをもらえない」

というものだった。

国際社会に振り返ってもらうには、大きな声を出さなければならない。そして声の出し方にはさまざまなテクニックがあるらしい、ということをシライジッチは知った。

――「第一章 国務省が与えたヒント」

■ 戦争広告代理店――情報操作とボスニア紛争|高木徹|講談社|2005 06月|文庫|ISBN9784062750967

★★★★

《キャッチ・コピー》

銃弾より「キャッチコピー」を、ミサイルより「衝撃の映像」を!!

「情報を制する国が勝つ」とはどういうことか―。世界中に衝撃を与え、セルビア非難に向かわせた「民族浄化」報道は、実はアメリカの凄腕PRマンの情報操作によるものだった。国際世論をつくり、誘導する情報戦の実態を圧倒的迫力で描き、講談社ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞をW受賞した傑作。

memo

不肖・宮嶋国境なき取材団」所収のサラエボを取材した「ボスニア一人ぼっち」を読んでいて、未読のままのこの本を思い出し本棚から取り出した。

ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国 VS セルビア共和国+ユーゴスラビア連邦の「虚」の対決、すなわち情報戦争。

高木徹■ 大仏破壊――バーミアン遺跡はなぜ破壊されたのか

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