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2007.02.23

■ 老いらくの花|小沢昭一

20070223oirakuozawa

私、以前(198384)、井上ひさし作『芭蕉通夜舟』というひとり語りの芝居を、六十ステージほど演じました。この芝居は芭蕉の生涯を、最後に棺をのせた舟が淀川を遡るまで、三十六景にまとめたものです。〔…〕

私も、随分、旅を重ねましたが、みんな仕方なしの仕事の旅で、いつも家へ帰りたがっているというヨワムシ。芭蕉の定住を捨て、家庭を捨て、金も捨てという孤独感などは、果たして舞台に表現出来ていたかどうか。

でも、好きな台詞もありました。

「野宿する身の貧しさやるせのなさ、切なさ、侘びしさを、あべこべにこっちから笑顔で迎え出ること、それが誠の<心のわび>というものではないのかな。わびとは、貧者の心の笑顔のことさ……ちがってたら、ごめん」

この台詞ばかりは、ばかに気に入って演じていたのを、いま、懐かしく思い出します。

 芭蕉、数え年五十一歳で没。今の私より二十歳以上も若い。それで「芭蕉翁」ですか。

此道や行人なしに秋の暮

翁でなくではよめない境地ですなぁ。

――「芭蕉と私」

■ 老いらくの花|小沢昭一|文藝春秋|2006 06月|ISBN9784163676609

★★★

《キャッチ・コピー》

東京は蒲田育ち、好きなことを好きなようにやってきました。「生涯現役」より「退役悠々」がモットー! 平成の昭和人が見聞きしたあれこれを綴る、味わい深きエッセイ集。

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