■ ナショナリズムという迷宮――ラスプーチンかく語りき|佐藤優/魚住昭
佐藤 なかでも私は、インターネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」の書き込みを、現在の日本におけるナショナリズム形成との関連で注視しておくべきだと思っています。匿名性が担保されていますから、より過激な言説がより優位に立つ。言説がどんどん先鋭化していくという、ナショナリズムの病理が最も高まりやすい状況が形成されています。
魚住 これは新たな〝公共性の構造転換″といっていいのかな。
佐藤 そう表現して差し支えないと思います。いみじくも、テレビの影響力を熟知している田原総一朗さんがこう発言しています――ある事件や出来事に対して世論がどういった流れになるのかを知りたいときには「2ちゃんねる」の書き込みを読むのだと。
魚住 その関係をどう考えたらいいのかな?
佐藤 既存のメディアが、インターネットの言説に引っ張られているということの象徴でしょう。メディアを覆う一連の反中国、反北朝鮮の排外的な言説なんかまさにそうではないかと思いますよ。
■ ナショナリズムという迷宮――ラスプーチンかく語りき|佐藤優/魚住昭|朝日新聞社|2006年 12月|ISBN:9784022502452
★★★
《キャッチ・コピー》
ナショナリズム、ファシズム、ポピュリズム。思想と現実の両面から日本現代史を解き明かすこう読み物。思想・哲学・思想に通暁する博覧強記の佐藤優と、長い取材執筆経験をもとに、日本の現実を知り尽くす魚住昭との間の白熱の対話。
《memo》
□魚住昭
□佐藤優 |
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