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2007.02.04

■ 「朝日」ともあろうものが。|烏賀陽弘道

20070204asahiugaya

甲子園球場で全国大会が開催されるのは八月だ。が、朝日の記者はそれよりずっと前から準備を始める。ぼくの場合、一年目の五月、つまり本番の担当の一年前にわざわざ名古屋本社に出張して「講習」を受けた。何を教わるのかというと、野球のスコアブックのつけ方を習うのである。

もうひとつ、望遠レンズを使った野球写真の撮り方講習というのもあった。朝日のネーム入りスコアブックも頂戴した。スコアブックで試合の流れを記録しながら「戦評」なるまとめ記事を書くのである。〔…〕

本番の高校野球担当が始まると、洪水のように仕事が押し寄せてくる。

地方予選が開幕すれば、連日地方版はスポーツ新聞みたいに試合記事で埋まる。これが延々、代表校の決まる七月末まで続くのだ。

だが、まだ終わらない。甲子園への代表校が決まったら決まったで「代表校チームの横顔(選手全員の顔写真とコメント)」「激励会」、チームが甲子園に動くと、同行して「組み合わせ抽選会」「開会式リハーサル」「対戦監督対談」と、高校野球関連の記事が途切れないよう、書き続けるパターンが決まっているのである。

試合のない日は、やれ選手が遊園地へ行った、やれヒマなので洗濯をしたと、よくまあ、こんなくだらない話が新聞に載るものである。

しかも、爆弾三勇士みたいな美談・勇猛談のオンパレードである。ぼくは最初からげんなりしていたので、できるだけ淡々と書いたのだが、デスクが「さあ、思い切り戦うぞ!」「行くぞ!ほじけるように選手がベンチを飛び出していく」等々、勇ましい語句を付け加え、〔…〕

■ 「朝日」ともあろうものが。|烏賀陽弘道|徳間書店|200510月|ISBN9784198618841

★★

《キャッチ・コピー》

聞いてビックリ、見てビックリ。朝日の記者生活は「驚き」の連続だった!「捏造は当たり前」「偏向は常識」が朝日の社風?!―元朝日新聞記者の苦闘の青春記。

元朝日新聞記者が実名で、あの大朝日を内側から描いた問題作。朝日には不思議がいっぱい。

memo

著者・烏賀陽弘道のホームページ <うがやジャーナル>

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