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2007.03.05

■ 獄中記|佐藤優

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人は易さに流れるので、私は、拘置所の中では小説や実用書を遠ざけています(唯一の例外がカロリーブックです)。そうすると、外にいると手間がかかるので読まない古典作品ですら娯楽本になってきます。

『太平記』を一日半で190頁読みました。中世の政争の世界が今の私にはリアリティーをもって迫ってきます。〔…〕

北朝側(足利氏)は、権力を実際に握り、国家運営にあたっていました。特に足利義満は、明という超大国に日本が呑み込まれてしまわないようにするために、日本の国家体制を整備し、自ら王(天皇ではない)になる道を着実に歩んできた政治家としてとても興味深いのです(恐らく最後は毒殺された)。金閣も、隠居所ではなく、あそこに新たな王宮を作ろうとしていたという解釈の方が合点がいきます。

これに対して、南朝側は実際の政争には敗れました。しかし、『神皇正統記』、『太平記』において、南朝側が正しいのだということが定着し、後世で再評価されるわけです。北朝側が権力に酔っている間に、南朝側は記録を残したのです。

南北朝の動乱は、軍事的には北朝側が勝利しましたが、歴史的には南朝側が勝利しました。

――第3章 獄舎から見た国家

■ 獄中記|佐藤優|岩波書店|2006 12月|ISBN9784000228701

★★★★

《キャッチ・コピー》

2002514日―。佐藤優は、背任・偽計業務妨害という微罪容疑で逮捕され、512日間、東京拘置所に勾留された。

62冊の獄中ノートの精華。狭い煉獄での日常に精神の自由を実感しながら、敵を愛する精神とユーモアを失わずに、人間についての思索を紡いだ日記と、新しい同僚や友人に国家再生の道を綴った書簡から成る。

憂国の士が綴った国家への復命書にして、現代の日本が生んだ類まれな記録文学。

佐藤優■国家の自縛

佐藤優■国家の崩壊

佐藤優■国家の罠――外務省のラスプーチンと呼ばれて

佐藤優■自壊する帝国

佐藤優/魚住昭 ■ ナショナリズムという迷宮――ラスプーチンかく語りき

佐藤優/鈴木宗男■ 北方領土「特命交渉」

佐藤優/手嶋龍一■ インテリジェンス 武器なき戦争

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