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2007.03.19

■ 坊ちゃんの時代|関川夏央/谷口ジロー

20070319bottyan01

わたしはつねづね「坊っちゃん」ほど哀しい小説はないと考えていた。この作品が映像化されるとき、なぜこっけい味を主調に演出されるのか理解に苦しんでいた。〔…〕

明治は激動の時代であった。明治人は現代人よりもある意味では多忙であったはずだ。明治末期に日本では近代の感性が形成され、それはいくつかの激震を経ても現代人のなかに抜きがたく残っている。われわれの悩みの大半をすでに明治人は味わっている。

つまりわれわれはほとんど(その本質的な部分では少しも)新しくない。それを知らないのはただ不勉強のゆえである、というのがわたしの考えであり、見通しであった。また、ナショナリズム、徳目、人品、「恥を知る」など、本来日本文化の核心をなしていたはずの言葉を惜しみ、それらがまだ機能していた時代を描き出したいという強い欲望にもかられた。

そこでわたしは「坊っちゃん」を素材として選び、それがどのように発想され、構築され、制作されたかを虚構の土台として、国家と個人の目的が急速に乖離しはじめた明治末年を、そして悩みつつも毅然たる明治人を描こうと試みた。

――わたしたちはいかにして『坊っちゃんの時代』を制作することになったか

■ 坊ちゃんの時代|関川夏央/谷口ジロー|双葉社|19877月|ISBN:4575930598

★★★★

《キャッチ・コピー》

明治38年。現代人たる我々が想像するより明治は、はるかに多忙であった。漱石 夏目金之助、数え年39歳。

見通せぬ未来を見ようと身もだえていた──近代日本の青年期を、散り散りに疾駆する群像をいきいきと描く、関川夏央・谷口ジローの黄金コンビが放つ一大傑作。第2回手塚治虫文化賞を受賞。

小林信彦■うらなり

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