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2007.03.16

■ 隠すマスコミ、騙されるマスコミ|小林雅一

20070316kakusukobayashi

「記者クラブ」と新聞記事に署名をさせない「匿名性」は密接に絡み合って、記者個人の権利、義務、責任を否定し、日本のジャーナリズムを歪めている。日本の新聞記事がなぜ原則的に記者の署名を許さないかというと、建前上は「報道内容の客観性・中立性を確立するため、記者個人の見解を排する」というのがその理由である。

しかしこれは嘘だ。出来るだけ客観的に書こうというのは、正しい姿勢である。しかし人間の書いたものである以上、どんなに無理して自分を殺そうとしても、その人の視点や判断というものは必ず記事に反映される。

だからこの世界に、客観的な記事など存在しないのだ。それに署名をつけずに、体裁上、客観的に見せかけることは、読者に嘘をつくことになる。本当に正しい対応とは、新聞記者が出来るだけ客観的に書いた上で、「でもこれは所詮、記者個人の見解に基づいた記事に過ぎませんよ」ということを明示するために、署名記事にすることである。

新聞社が記者に署名をさせない本当の狙いは、恐らく別のところにある。それは個としてのジャーナリストを否定することであるこの点で記者クラブ制度と密接に連携して、本来なら素晴らしい知的潜在能力を持った人たちの才能を殺している。日本の新聞記者は勇気をもって、これに異議を唱えるべきである。

――最終章 国際報道の実態

■ 隠すマスコミ、騙されるマスコミ|小林雅一|文藝春秋|2003 05月|新書|ISBN9784166603183

★★★

《キャッチ・コピー》

日々、国内外の出来事を伝えるテレビや新聞のニュース、巨大な証券市場を動かす経済通信電、何百万の観客を動員するハリウッド映画―現代社会は、マスメディアが構築したイメージの城である。

マスコミの流す情報が、事実と一致しないことはわかっていても、競争社会を勝ち抜くために、また豊かな生活のためには、マスコミ情報を利用せざるをえない。では、その信憑性をどのように確認すればよいのか。イラク戦争報道からCGアイドルまで、豊富な事例をもとに、メディアのカラクリを明らかにする。

歌川令三■ 新聞がなくなる日

大塚将司■ 新聞の時代錯誤――朽ちる第四権力

田中良紹■ メディア裏支配――語られざる巨大マスコミの暗闘史

本田靖春■ 我、拗ね者として生涯を閉ず

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