中内力■ 選択―中内力・自伝
その後、一円玉が全国的に不足するという問題が起こった。スーパーは九十八円とか百三円といった値付けをしているので、一円玉は釣銭に欠かすことができない。
日本銀行神戸支店へ行って頼んだが、状況は変わらなかった。(東海銀行の)宮田支店長に相談したところ「よし、名古屋から運んでくる」と言う。正直言って「本当かな」と半分疑っていたが、一週間後には大量の一円硬貨が店に届き、それからも二週間おきに届けられた。
聞いてみると伊勢神宮や熱田神宮との取引がある支店に連絡して、おさい銭の一円硬貨を名古屋の本店に集め、神戸まで定期的に運んでくれていたのだ。
名神高速道路はまだ開通しておらず、名古屋と神戸から同時に車を走らせ、滋賀県の大津で受け渡しをしていた。宮田支店長には本当に助けてもらった。
――第2章 小売業の成長を求めて
■ 選択―中内力・自伝|中内力|神戸新聞総合出版センター|2004年08月|ISBN:9784343002839
★★
《キャッチ・コピー》
ダイエーの創業と退社、シンエーフーヅ、ポートピアホテルの創立、コンベンション振興財団の設立…。神戸の経済とその発展に深く関わってきた経緯を軸に、数々の「選択」と「決断」の時を経てきた自らの半生をつづる。
《memo》
ちょっと昔の神戸は中内兄弟とともに成長したのだった。
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