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2007.04.27

森 毅■ 元気がなくてもええやんか

20070427gennkimori

老後のために俳句をたしなむというのはあまり賛成でない。〔…〕

むしろ、ずっと続けていると、発想の幅が固定したり、型にはまってしまうことのほうが心配ではなかろうか。俳句の体験ではないが、いろいろと文章を書き続けていると、エッセーですら、そうしたことを感ずる。〔…〕

それに、若いときから何十年もやっているのに、いっこうに上達しないなどと言われると、もっとつらい。だから、若いときからたしなんでいないからこそ、年をとってにわか俳人になれる。

と考えていたが、実際にやってみると、そう簡単でもない。教養めいたものがあるだけに、つい頭で処理しがちなことだ。身についてない、という気分。〔…〕

十七字しかなくて、だれのものだかわからなくなりがちということは、そこで自己を主張するだけの場所がないということでもある。わずか十句しか作ってないからか、少しも自己を表現している気分がしない。若いときからの歴史があって、それを超えたところに味が出てくるのだろう。だから、ずっと続けているのはなかなかのもの。作風の維持ではなくて、作風の変化によって。

――「にわか俳人」

■ 元気がなくてもええやんか|森 毅|青土社|200308月|ISBN9784791760572

★★

《キャッチ・コピー》

このごろ、みんな元気で盛りあがろうと無理しすぎている気がする。人それぞれ、元気がない人もいて当然なのに。いいかげんにゆるやかに、不安の時代をのりきるための、森流ノホホン処世術。

memo

著者の俳句8

土塊をいやいやかたぐ初蕨

鐘の音は人間を避けて遁走す

雨よ降れ花見の痕を流し去れ

月もなく花もなく枯野のもの思い

寒空に踏む人もなく霜柱

打ち水のあとを雷雨の襲ひけり

夏枯れの薮にも残る草いきれ

CDの音を沈めて夏の闇

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