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2007.04.28

丸谷才一■ 双六で東海道

20070428sugorokumaruya

ただしシャクターさんの本には恐るべきことが書いてある。七十代の高齢者の場合、知合ひの名前が出て来なくなるのは平均で月二、三回といふのだ。信じがたいなあ。この平均値を得るためには、月に零回の人がかなり大勢ゐなければならない。

関容子さんは堀口大学、中村勘三郎、中村歌右衛門などについての本を書いた人だけれど、老人に対するインタヴューのコツは、人名が思ひ出せなくて困ってゐるときは早く助太刀することださうである。でないと、時間がかかって仕方がない。

ただし、形容詞や動詞、比喩的表現が思ひ浮ばなくて思案してゐるときは、横合ひから口を出してはいけない。待ってゐれば、きつと、思ひもかけない古風な言ひまはしが出て来るのだから、とのことであった。

わたしはこれを聞いて、インタヴューの秘訣に感心したり、おれも今に形容詞や動詞を失念するやうになるのかと思ったり、心中すこぶる忙しかつた。 

――「ほら、ほら、あの……」

■ 双六で東海道|丸谷才一|文藝春秋|2006 11月|ISBN9784163685502

★★★★

《キャッチ・コピー》

宮本武蔵はなぜ決闘に遅刻したか? から、人の名前を度忘れした時は、これ! という名案までを縦横無尽に綴り、頭に栄養、心にゆとりを与える17篇を収録。

*

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