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2007.04.08

■ あぁ、万事塞翁がお・ん・な――神戸松迺家女四代ものがたり|ウドノ葉宇子

20070408aabannjiuzono

「恐縮でございます。日活撮影所の○○と申しますが、こちらに、石原裕次郎がお世話になっていないでしょうか

言葉と顔に焦燥感が見える。ひたすら探し回った苦労の跡と、ここだという安堵感が奇妙に交錯しているようだ。

「申しわけございません。こちらは一見さんお断わりさせていただいておりますし、たとえ、そういう方がいらっしゃっても当方は芸能関係の方はお断わり申し上げております」

「さようでございますか」

言いながらも彼の目は、中にいるだろう裕ちゃんの姿を必死で探している。

会えない苦渋が全身に滲んでいる。〔…〕

静かな声で立ち去って行く日活の人の後ろ姿が痛々しい。こちらの方も胸が痛むと同時に、もう時間の問題だと悟らざるを得なかった。

母も「潮時かも……」と呟いた。

裕ちゃんの部屋には重苦しい雰囲気が漂いはじめた。〔…〕

日活としても、会社の浮沈に関わる重大問題なのであろう。ドル箱スターにエスケープされたことがマスコミにもれたら大変だから、一層の極秘神経戦である。

■ あぁ、万事塞翁がお・ん・な――神戸松迺家女四代ものがたり|ウドノ葉宇子|文園社|1999 06月|ISBN9784893361349

★★★

《キャッチ・コピー》

80年続いた神戸を代表する老舗料亭「松迺家」ものがたり。

明治の祖母が20代で創業。大正の母は戦災で焼失の中、自立から松迺家最盛期をつくる。昭和の著者は阪神大震災と大不況で奮闘。いつも女たちはゼロから立ち上がった。いま、21歳の麻里絵が新松迺家を歩きだした。

神戸・松廼家のサイト

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