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2007.05.12

金原亭伯楽■ 小説・古今亭志ん朝――芸は命、恋も命

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志ん朝は確かに志ん生を襲名するつもりで居た。しかし、忙しさにかまけて時期を逸してしまった感がなくもなかった。

自分としては五十歳刑前後が志ん生を襲名するのに良い年代と考えていた。だが、あの頃は「のり平劇団」の志ん朝と言う名は大看板であった。まだまだ襲名は先で良いと考えた。それと、落語会の出演も多忙を極めていたし、糖尿病、家の新築といろいろあって、気が付いた時には六十の年になっていたのだ。

今、志ん朝は志ん生の名跡を自分が襲名する事は出来ないと悟っていた。あれだけの検査をしたのに、これといった治療は何も行われない。病状は相当に重いものと覚悟をしていた。此処の担当医も王子の先生も、この先どの位生きられるか、はっきり教えてはくれず、言葉を濁す。だが、ただ点滴をして寝ているだけの医師の治療の仕方を考えれば、この先の自分の寿命は悟らねばならなかった。

志ん朝は志ん生の名跡を如何にするかは、今や自分の責任と考え、誰も部屋に居ない午前中に、それを遺書としてしたためた。

■ 小説・古今亭志ん朝――芸は命、恋も命|金原亭伯楽|本阿弥書店|2007 01月|ISBN9784776803362

★★

《キャッチ・コピー》

平成13101日、古今亭志ん朝さんが鬼籍に入ってしまったことは、落語界の大損失でありました。親友、金原亭伯楽が書き下ろす志ん朝さんの知られざる恋と死。

*

小林信彦 ■ 名人――志生、そして志

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