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2007.05.13

村松友視■ 永仁の壷

20070513eininmuramatu

「小山さんと唐九郎は、陶磁器の研究や古窯址の発掘、それに陶芸に魅入られていたという点で、大きく分ければ似たタイプだと思うんだ」

「二人がですか……」

「その点ではね、しかしこれについても流派がちがう」

「流派……」〔…〕

「唐九郎の面白味も、ちょっと奥深いからなあ」

「ほう、奥深いですか」

何しろ、あてる光によって色が変ってしまうのさ、唐九郎はね。ところが、小山さんは厳然としていてね、どんな光をあてても色は変らない」〔…〕

(それにしても、あてる光によって色が変わるのはたしかだ……)

老人の唐九郎についてのセリフが、私の頭に灼きついた。〔…〕

たしかに唐九郎は、あてる光によって色が変ってしまう。年譜にしたがって辿ろうと思っても、小山富士夫のように素直には受け取れぬ色合いが、そこにただよっているのだ。

■ 永仁の壷|村松友視|新潮社|2004 10月|ISBN9784103523048

★★★

《キャッチ・コピー》

加藤唐九郎が「私が作った」と告白した古瀬戸の壺は、重要文化財の指定を取り消され、壺を推薦した小山冨士夫は文化財調査官の職を辞した。世紀の陶芸スキャンダル「永仁の壺」事件。

その後、唐九郎は折にふれて事件を語り、小山冨士夫は最後まで口を閉ざした―。

*

村松友視■ ヤスケンの海

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