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2007.05.08

嵐山光三郎■ 悪党芭蕉

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芭蕉は弟子を育成して芭蕉塾が成立し、蕉門は元禄初期の俳壇を席巻するに至った。蕉門隆盛は弟子の面倒見がよいという芭蕉の親分肌によるところが大きい。

芭蕉は無足人の家から一代で成り上った俳人である。進化変転の人であって、風狂の日々を過ごして脱社会をめざしつつも、自己矛盾を克服しょうとして不易流行を説き、「軽み」へ辿りついた。そういった自在なステップに弟子がとまどうのは、いたしかたがない。

芭蕉の風狂は杜甫、李白といった中国の詩人や、能因、西行、宗祇など日本の反俗詩人の踏襲である。古典文学知識が風狂を支えており、古書で学んだ反俗的文人に理想の姿を見てそれを実施しょうとした。

そういった風狂の実体は文人の特権的生活でもあり、市井の人が真似できることではない。その高踏性を乗りこえなければ芭蕉オリジナルの俳諧は成立しない。

自分ひとりが澄明枯淡の境地にいても、俳諧という共同遊戯文芸は成立しえない。脱俗しつつも通俗社会に身をおくことを意識しなければならなかった。それは大悟徹底した高僧が、最後は民衆のレベルまで降り、やさしい言葉で布教していく姿を思わせる。

■ 悪党芭蕉|嵐山光三郎|新潮社|200604月|ISBN9784103601043

★★★★

《キャッチ・コピー》

弟子は犯罪者、熾烈な派閥抗争、句作にこめられた危険な秘密…。“俳聖”松尾芭蕉のベールを剥ぐ力作。第58回読売文学賞評論・伝記賞(平成18年度)。

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