« 池内紀■ あだ名の人生 | トップページ | 高島俊男■ お言葉ですが…《第11巻》 »

2007.05.19

斎藤美奈子■ それってどうなの主義

20070519saitosorette

大きな事件のあった日の翌日は新聞の社説がおもしろい。〔…〕

『朝日』ボケてんな、と思ったのは331日だ。『朝日新聞』はこの日、君が代処分事件を取り上げた。都の教育委員会が君が代斉唱時に起立しなかった教職員170名あまりを戒告などの処分にすると決定した、それを受けての内容である。

式を妨害したのならともかく、起立しないからといって処分する。そうまでして国旗を掲げ国歌を歌わせようとするのは、いきすぎを通り越して、なんとも悲しい。

(『朝日新聞』2004331日付社説「起立せずに処分とは」)

「いきすぎを通り越して」という表現も妙だけど、か、悲しい……。そういう問題か?

案の定、『読売』『産経』連合軍に揚げ足をとられ、

夏の甲子園大会でも、プロの歌手が国歌を独唱している。

(『読売新聞』2004331日付社説「甲子園では普通のことなのに」)

そうまでして国旗・国歌を定めようとする論調は、なんとも悲しい。

(『産経新聞』200441日付「産経抄」)

とやられたからたまらない。なにせ夏の高校野球は朝日新聞社の目玉商品だ。

で、42日、焦った『朝日』の社説はますますの迷走を見せる。

<どうしても嫌だという人に無理やり押しつけるのは、民主主義の国の姿として悲し過ぎる。私たちはそう言っているのだ>とほとんど絶叫調で述べた後、社説は意表をつく行動に出る。

しろじに あかく ひのまる そめて

ああ うつくしい にほんの はたは

小学1年生は、みんなこの歌を習う。日の丸を美しいと思う心は、強制して育てるものではない。 

(『朝日新聞』200442日付社説「甲子園とは話が違う」)

とうとう歌っちゃったよ、社説の末尾で。右派勢力にいじめられて壊れちゃったか。

――「左右の安全をたしかめて」

■ それってどうなの主義|斎藤美奈子|白水社|200702月|ISBN9784560027974

★★★

《キャッチ・コピー》

日の丸、戦争、靖国から、皇室報道、学校教育、児童文学、ファッション誌まで…オウム事件後10年間のニッポンの右往左往ぶりをめぐる痛快エッセイ集。

一、「それってどうなの」は違和感の表明である。

一、「それってどうなの」は頭を冷やす氷嚢である。

一、「それってどうなの」は暴走を止めるブレーキである。

一、「それってどうなの」は引き返す勇気である。

*

斎藤美奈子■あほらし屋の鐘が鳴る

斎藤美奈子■文学的商品学

斎藤美奈子■誤読日記

斉藤美奈子■男性誌探訪

|

« 池内紀■ あだ名の人生 | トップページ | 高島俊男■ お言葉ですが…《第11巻》 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 池内紀■ あだ名の人生 | トップページ | 高島俊男■ お言葉ですが…《第11巻》 »