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2007.05.30

山内喜美子■ 世界で一番売れている薬

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感染症対策から予防医学へ。21世紀、医療は大きな転換期に入った。抗生物質が、エイリアンを退治して人類を滅亡から救うヒーローのごとく脚光を浴びた時代には、ペニシリンやストレプトマイシンの威力は誰の日にも明らかだった。

しかし、即効性の抗生物質とは違い、長期服用することによって遺伝性疾患の治療や生活習慣病を予防するスタチンのような薬には、いきなり空からやってくるウルトラマンのようなヒーロー性は乏しい。

予防医学とは、濁って淀んだ川が自然の浄化作用で徐々に澄んだ流れに変わっていくような、地味で日の当たらない水面下の藻のような役目なのかもしれない。スタチンも、専門家にとっては完全無欠のヒーロー(画期的新薬)だったが、世間一般にその価値が認められるまでには時間が必要だったのだ。

それでも、世界中で今、最も多く使われ、人々の健康に寄与している世紀の薬の発見者が、遠藤章という日本人科学者であったという事実は揺るがない。

メカニズムを解明した人がとうに高い評価を受け、それにふさわしい賞を受けている一方で、直接、病気を治し、予防する薬を見つけた人の功績が埋もれたままでよいはずはない。

理論で人は救えないのだ。

■ 世界で一番売れている薬|山内喜美子|小学館|200701月|ISBN9784093897006

★★★★

《キャッチ・コピー》

全世界で3000万人が飲んでいる「奇蹟の薬」、それが体内のコレステロール値を下げる高脂血症治療薬「スタチン」である。

脳梗塞や心疾患を引き起こす動脈硬化の治療にいまや欠かせない「世界一有名な薬」それを発見したのが日本人だということを知っているだろうか。

30年以上前からメタボリックシンドロームの危機を予見し、ノーベル賞に値する功績を挙げた農学博士・遠藤章の「創薬」の物語。第13回小学館ノンフィクション大賞優秀作受賞作。

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