« 杉本秀太郎■ 花ごよみ | トップページ | 池田晶子■ 人間自身-考えることに終わりなく »

2007.06.17

車谷長吉■ 世界一周恐怖航海記

20070617kurumatanisekaii

それでも「知る」ことは苦痛だ。もう何も知りたくはない。ことに人間については知りたくはない。人間に関することは、あまりにも厭なことが多過ぎる

この船の中にも、厭な人は多い。また不気味な人、正体の知れない人、得体の知れない人が多い。厭な人とは、意地悪なことを言うて、他人の生活の中へ無遠慮に土足で踏み込んで来る人だ。

このトパーズ号が一つの日本社会なのだ。一千人近い船客は、十三ヶ国の国籍を持った人の集まりだと言うが、九割九分は日本人である。それが一艘の船の中に閉じ込められて、監禁生活をしているのだ。

そういう意味では、こういう団体生活は「日本脱出」ではない。場所はいま大西洋の只中に来ているが、小さなより濃密な「日本社会」が船で移動しているだけだ。「日本脱出」という開放感がない。

■ 世界一周恐怖航海記|車谷長吉|文藝春秋|200607月|ISBN9784163683003

★★★

《キャッチ・コピー》

車谷長吉。六十歳にして初の日本脱出。船上にて自らの半生を綴った100日間。異国の地で見聞き、体験した「恐怖」の航海記。

memo

 作家は姫路飾磨の人で、作中に播州弁がでてくる。

せきゃげる=嘔吐する。顔の面(めん)どい女=見たくない女。すこっちょい人=豪快で心地よい人。……と説明があるが、知らない。こっきらこと=全部。……は説明はないが分かる。「素どい女」は分からない。すぼっこい=無愛想な、というのなら知っているが。

新著の『灘の男』は未読だが、「聞き書き」小説とのこと。もしかしたら初の“播州弁”小説かもしれない。

|

« 杉本秀太郎■ 花ごよみ | トップページ | 池田晶子■ 人間自身-考えることに終わりなく »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 杉本秀太郎■ 花ごよみ | トップページ | 池田晶子■ 人間自身-考えることに終わりなく »