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2007.06.22

小林信彦■ 昭和が遠くなって-本音を申せば

20070622kobayashisyouwano

今年をあらわす漢字は〈命〉に決まった。

命を大切に――ということなのか、テレビで清水寺の貫主が〈命〉という大きな文字を書いているのを見た。〔…〕

隣に厄介な人間が住んでいるからといって、相手を刺激するのは、逆効果だ。この辺になると、佐藤優=鈴木宗男対談(「北方領土「特命交渉」講談社刊)の、ロシアとの問題を解決しておけば、中国も漁業権の話に乗り出してくるし、北朝鮮もそう勝手には動けなくなったはずだ、という会話がリアルになってくる。

〈北方領土四島〉が返ってくるチャンスは過去に存在したのだ。こういうロシア、中国、韓国による包囲網といったグランド・デザインで発想せず、感情的になっているだけでは始末がつかない。

 しかも、今の安倍政権の対北朝鮮策は、北朝鮮を〈敵国〉と決めて、政権の維持に使おうという姑息な手段である。

地方(いや多くの都市もだが)が疲弊して、シャッターがおりた店ばかり。北海道では雪かきもできないという貧しさ。日本中に怨嗟の声がうずまいている。

〈北朝鮮が攻めてくる〉と煽って、気落ちしているアメリカ軍との共闘をPRし、憲法を改定する道を開きたい安倍総理と、国民の〈怨嗟の声〉が噛み合うはずがない。法人税は引き下げ、一般の貧しい著はさらに貧しくなっても仕方がない、というのは、これこそ〈いじめ〉ではないか。

今年をあらわす一字は、本当は〈壊〉だったのではないかという気がする。それも〈壊)〉す、ではなく、〈壊〉される、だ。

――「壊される」

■ 昭和が遠くなって-本音を申せば|小林信彦|文藝春秋|200704月|ISBN9784163690308

★★★

《キャッチ・コピー》

〈いじめ〉に象徴される格差社会の歪みを直視する一方で、「ゆれる」「硫黄島からの手紙」に絶賛の拍手を送る。

“昭和”について語られることが多くなるにつけ思うこと。時代と世相の“いま”を書きつづけるクロニクル(年代記)的エッセイ最新刊。「週刊文春」連載。

*

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