« 瀬川昌治■ 乾杯!ごきげん映画人生 | トップページ | 三田完■ 俳風三麗花 »

2007.06.28

車谷長吉■ 灘の男

20070628kurumataninadanootoko

そのうちに昭和20815日の敗戦ですわ。

昼にラジオで天皇陛下の終戦の詔勅がありましたわな。親父は従業員一同を集めて、直立不動でそれを聞いた。

そのあと親父は、敗戦は残念や、無念や、わしのいまの気持は迚も言葉では言い表せへん、みなこれから力を合わせて、戦後復興に立ち上がろうやないか、言うて、従業員一同の前で指詰めたんです。

指詰めるいうのは、極道でも麻酔してから、詰めるんですけど、麻酔もせんと、詰めたんです。当然、血が噴き出しますわな。従業員一同に酒を注いで、そのコップの中に一人一人、親父の血を注いで、みんなで呑んだいうことです。

ほら、血が噴き出すさかい、痛いの何の、指の中の骨は見えるし。親父はタオルを搾って、それを口に噛んで、辛抱したらしいけど。

指詰める出刃を研いだんは、うちの親父の母親でした。〔…〕

敗戦の決意なんです。誓い、祈りなんです。口では言い表せへん気持の発露なんです。のちにはゴルフするようになって、左手の小指の先がないもんやから、クラブを握るのに、も一つ力が人らへん、言うてましたけど。

■ 灘の男|車谷長吉|文藝春秋|200705月|ISBN9784163259208

★★★

《キャッチ・コピー》

粋で、いなせで、権太くれ。それが灘の男や! 「灘のけんか祭り」の本拠地には豪快なる伝説の男が2人いた。彼らの波瀾と葛藤に満ちた人生が、執念の取材と描写で浮かびあがる。私小説作家廃業を宣言した著者の新境地!

memo

 小説というよりノンフィクション? 単なるインタビュー?

車谷長吉■ 世界一周恐怖航海記

|

« 瀬川昌治■ 乾杯!ごきげん映画人生 | トップページ | 三田完■ 俳風三麗花 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 瀬川昌治■ 乾杯!ごきげん映画人生 | トップページ | 三田完■ 俳風三麗花 »