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2007.07.04

森見登美彦■ 太陽の塔

20070704morimitaiyo

茨木駅から万博公園に向かうバスの中、彼女は車窓から外を眺めていた。やがて緑の森の向こうに太陽の塔が姿を現した。彼女はびたんと蛙のように窓に貼りついた。「うわっ、うわっ、凄い」と彼女は言った。

公園に着いても、彼女はずいぶん長い間、太陽の塔の足下を行ったり来たりしていた。〔…〕やがて彼女は上気した顔で近づいてきて、「凄いです。これは宇宙遺産に指定されるべきです」と語った。

そうやって彼女と一緒にぽかんとしていると、飾磨から電話がかかってきた。私は少し彼とやり取りをしたが、さも得意げに、嫌らしいやり方で、自分が彼女と一緒に万博公園に座っていることを匂わせたらしく思われる。飾磨は「邪魔したな」と電話を切った。

その五分後、メールが入った。

「許さん。許さんぞお……」

書かれていたのは、それだけだった。

■ 太陽の塔|森見登美彦|新潮社|2006 06月|文庫|ISBN9784101290515

★★

《キャッチ・コピー》

失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、爆笑妄想青春巨編in京都。日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

memo

 どこがファンタジーなのか? どこが爆笑なのか?

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