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2007.07.03

米原万里■ 他諺の空似――ことわざ人類学

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ボンゾピーは、第一次大戦前後に、イギリス政府の戦争動員政策に果敢に反対し続けた政治家で、「国民に義憤、恐怖、憎悪を吹き込み、愛国心を煽り、多くの志願兵をかき集めるため、『嘘』をつくりあげ、広めた」として、政府が国民を戦争に動員していくために用いる嘘のつきかたに10のパターンがあるのを発見した。〔…〕

まず戦争を始める為政者は、必ず「われわれは戦争をしたくはない」(第1の法則)と主張する。

争いを憎み平和のために最大限努力したのに、「敵側が一方的に戦争を望んでいる」(第2の法則)のだと。

それもこれも「敵の指導者は悪魔のような人間だ」(第3の法則)からで、

「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」(第4の法則)のだ、と自分たちの戦争の神聖さを強調する。〔…〕

しかし実際に戦争になれば、一般市民の殺傷に関する情報も入ってくる。厭戦気分の広がりを阻止するため、「われわれも誤って犠牲を出すことがある、だが敵はわざと残虐行為におよんでいる」(第5の法則)と自己弁護と同時に敵の邪悪さを強調する。

「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」(第6の法則)と、あたかも自分たちは正々堂々と卑劣ではない兵器を用いているかのような口ぶりをする。

にもかかわらず、「われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」(第7の法則)と数字の操作をし、……。〔以下略〕

――甘い言葉には裏がある

■ 他諺の空似-ことわざ人類学|米原万里|光文社|200608月|ISBN9784334975043

★★★

《キャッチ・コピー》

“世界はことわざで連帯する”米原ワールド炸裂! 遺作、待望の刊行。

歴史も地理的気候的条件も、従って文化も全く異なるところで、同じ文句が同じ意味に使われているとは、奇跡以外の何ものでもない、と興奮してしまう…。

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