横田増生■ アマゾン・ドット・コムの光と影――躍進するIT企業・階層化する労働現場
アマゾンのしゃれたサイトで本を買う人は、どんな物流現場を想像するのだろうか。
そのスマートな検索機能のように、客からの注文を受けると、自動的にコンピュータに入力され、魔法のように本が選び出されて、自動的に梱包されるといったイメージだろうか。〔…〕
しかしアマゾンのセンターほど、人手に頼っている現場も珍しい。なぜなら、主力商品である本の大きさが一つ一つ違うために自動化できず、どうしても人海戦術となってしまうからだ
そして、その400人いるアルバイトが少しでも怠け心を起こさないようにと、ここではすべての作業に厳しいノルマが課せられていた。ピッキング「1分で3冊」、検品「1分で4冊」、棚入れ「1分で5冊」、手梱包「1分で1個」……。
1分で3冊のピッキングということは、60分で180冊になる。時給900円なら、冊当たりのピッキングにかかるコストは5円。〔…〕
こう計算していくと、ピッキングから手梱包までで、1冊当たりに支払うバイト科はしめて27円となる。これが出荷の大半を占める自動梱包になると21円で済む。アマゾンは、こういった細かい数字を積み上げて、本の出荷にかかるコストを管理しているのだ。
――第2章 アマゾン心臓部・物流センターの実態
■ アマゾン・ドット・コムの光と影――躍進するIT企業・階層化する労働現場|横田増生|情報センター出版局|2005年 04月|ISBN:9784795843424
★★★
《キャッチ・コピー》
出版業界のタブーをものともせず、急成長した要因は何か。徹底した秘密主義の裏側では何が行われているのか。元・物流業界紙編集長が覗いたネットビジネス、その裏側に広がる底辺。
《memo》
物流センターに約半年アルバイトとして潜入。が、たんたんと記述され、盛り上がらず。「影」の部分がほとんどないノンフィクション。
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