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2007.08.06

高野秀行■ 西南シルクロードは密林に消える

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村人がカチン軍に協力するのはもちろん、カチン軍が近くに来たことを報告しないだけでも、ビルマ軍は村に報復する。略奪、レイプ、殺し、そして焼き討ち。

一方、カチン軍は当然そんなことをしないが、やはり、自分たちに協力しなかったりビルマ軍接近の報告を怠れば、「せっかくビルマ軍から解放してやろうというのにその態度はなんだ! 今度、同じことをやったら、村を全部焼き払うぞ!」くらいの脅しはかけるという。〔…〕

村人にとって、ゲリラとは両刃の剣なのだ。それは私に黒澤明の「七人の侍」を連想させた。〔…〕

ビルマ軍が山賊で、カチン軍が侍たちだ。山賊は恐ろしくまた憎いが圧倒的に強い。いっぽう、カチン軍は正義の味方だが、ほんとうに自分たちを守ってくれるのかわからない。強い山賊とあてにならない正義の味方。そのどちらにつくかという究極の選択を村人は迫られるわけだ。

「七人の侍」はハリウッドで翻案され、「荒野の七人」が製作された。どちらも世界的な名作として知られる。日本やアメリカでは時代劇であるが、ビルマでは現在進行形でその物語が続いているのである。

■ 西南シルクロードは密林に消える|高野秀行|講談社|2003 02月|ISBN9784062112321

★★★★

《キャッチ・コピー》

中国・成都からビルマ北部~インド・カルカッタまでの古代通商路。それは謎にみちた最古のシルクロードと言われている。

戦後、世界で初めて、この地を陸路で踏破した日本人ノンフィクションライターが見たものは? ジャングルの自然、少数民族、ゲリラたちと織りなす、スリルとユーモアにあふれる奇想天外な辺境旅行記

memo

カルカッタ警察の署長はこう訊ねた。

「それで、君はいったいどうしてヴィザも持たずに中国からビルマを通ってインドまで来たのかね? 君の旅行の目的はいったい何だ?」

 読者である当方も同じ質問を発したい。

*

椎名誠■秘密のミャンマー

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