あさのあつこ■ バッテリー Ⅲ
校長の声が荒くなる。
「スポーツ活動は、教育の一環です。健全な精神と肉体を養うためにあるのでしょぅ」
「おっしゃるとおりです」
「あなたは、長年、野球部の活動を指導してきて、子どもたちに学校スポーツの基本も教えられなかった。責任問題です。野球部の活動再開も考え直さないと――」〔…〕
もう、いいかげんにしてほしい。許可だの禁止だの、そんな言葉ひとつで野球をいじくりまわされて、たまるもんか。グラウンドに立ってもいない者が、あそこでの風も匂いも時間も、緊張も歓喜も落胆も、何ひとつ知らない者が、おれたちから野球を取り上げることができるのか。そんなこと許されるわけがない。〔…〕
「ひっこんでろ。一年なんかの出るまくじゃねえ」
巧を押し戻し、海音寺が校長の真正面に立つ。目の縁が赤かった。
■ バッテリー Ⅲ|あさのあつこ|角川書店|2004年 12月|文庫|ISBN:9784043721030
★★★
《キャッチ・コピー》
先輩も後輩もない、実力で自分の野球を認めさせてやる! しかし、キャッチャーとしての才能に悩む豪と、巧との間に亀裂が入って…!?
大人気シリーズ待望の続編! 大人も子どもも夢中になる、読めば誰でも十代に戻れる小説!
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