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2007.08.16

丸谷才一■ 袖のボタン

20070816maruyasodenobotan

このあひだ、負けた外国人力士が大荒れに荒れて問題を起したことがあって、そのせいで、相撲は礼にはじまり礼に終るといふ説をいろんな所で読まされた。相撲は神事であってスポーツとは違ふといふのも見かけた。

そのたびにわたしは、どうも話が茫漠としてゐる、相撲は宮廷儀式だし、和歌と縁が深いといふことを教へればいいのに、と思った。〔…〕

しかし相撲が、一時ほどではないにしてもこれだけ人気がある以上、外国人力士は着々と殖えてゆくはずだ。ちようどアメリカの大リーグが諸国から名人上手を集めるやうに、大相撲も世界中から力持ちの若い衆を呼び寄せることになりさうだ。

そこで大事なのは、日本的な美意識を外国人力士にどれだけ教へることができるかといふことである。これがうまくゆけば、国技の将来は明るい。

などと論陣を張ると、モンゴルやロシアから来た、体が頑丈な若者を相手に日本美もないもんだと笑はれるかもしれないが、しかしそれは観念語による要約に辟易する人の言ひ分である。反論は易しい。

――「相撲と和歌」

■ 袖のボタン|丸谷才一|朝日新聞社|2007 07月|ISBN9784022503145

★★★

《キャッチ・コピー》

日本の政治家はどうしてあんなに四字熟語が好きなのだろう。新年の歌会始で天皇はなぜ恋歌を詠まないのか? ちょっとしたギモンの扉を開けば、一読感嘆、日本のフシギが次から次へと見えてくる。

ゴシップの楽しさと批評の醍醐味を兼ね備えた、エッセイの至芸36編。

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