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2007.09.12

出久根達郎■ 作家の値段

20070912dekunesakkano

一葉は明治291月から、その書き下ろしにかかっている。金のために、病いを押して書いた。そして525日、『通俗書簡文』の書名で発行された。一葉の生前、唯一の著書である。

そこで「龍生書林」主人、大場さんに、電話で訊いてみた。

一葉が24歳で亡くなる年に出版された著書である。高価だろう。

「それがね、そんなでもない」と大場さん。

「へえ。珍しくないんだ。意外だね」

「初版のカバー付きは、めったに現れないけど、カバー付きで普通の状態なら、そうだなあ、10万円から12万円というところかな」

「案外に安いんだねえ」

「重版なら結構あるよ。これもカバーが無いのが多いけど、数千円で見かける。重版も美本は少ないね」

『通俗書簡文』は、前にも記したように、手紙の例文を集めたものである。〔…〕

大場さんが笑う。

「一葉の著書は安いけど、手紙は高価で、一本、何百万、何千万円だよ。だけど現物は、まず出ない。借金依頼状なら珍しさに何千万かもね」

――樋口一葉 金は適薬

*

*

■ 作家の値段|出久根達郎|講談社|2007 05月|ISBN9784062140591

★★★★

《キャッチ・コピー》

古本屋は知っている。本当に残るべき文学、消えていく文学とは? 古本の「市場原理」から文学の歴史と今を斬る―― 古書を知り尽くした筆者が初めて書いたホンネ中のホンネの文学論。

**

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