小松左京■ 威風堂々うかれ昭和史
次から次へ「わがほうの爆撃機がここを爆撃しました」「わが軍はここを占領しました」とニュースが来た時に、占領したところに日の丸を貼っていくんです、オセアニアの地図の上に。〔…〕
――例えば教室に地図が貼ってあって……。
教室じゃないの。文房具屋で売ってるんだ。つまり、西太平洋の地図を見ると、ハワイというのがここにあって、こう攻撃したんだなと。占領はしないけど、そこのところには爆弾のマークをつけた。それから、マニラへ上陸し占領した時は日の丸のマークを貼る。〔…〕
それから、敵の艦隊を沈めたという大本営発表があった時は……「プリンス・オブ・ウェールズ」や「レパルス」という艦名を書いた軍艦が半分沈んでいるマークを貼っていくの。
――そういうマークもいっしょに売っているわけですか。
売ってるの。〔…〕
――戦争の悲惨な実態は知らないわけですから、小学生にとってはそのおもしろさというか、実感は本当にそうだったんでしょうね。
そういうのがあったんだけど、「たしかにあったけど思い出したくない」という人も多いんだよ。
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■ 威風堂々うかれ昭和史|小松左京|中央公論新社|2001年 04月|ISBN:9784120031342
★★★
《キャッチ・コピー》
あのころ、僕らは大空に憧れる飛行少年だった。小松左京が同時代人と語る激動昭和のオーラル・ヒストリー。
《memo》
昭和6(1931)年生まれの著者が対談形式で自分史を語る。同時代を生きた中村メイコ、杉浦幸雄、佐野洋、白井佳夫、桂米朝、澤田隆治、石毛直道、山本富士子との対談を含む。
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