片岡義男■ 自分と自分以外――戦後60年と今
そして揃って椅子から立ち上がり、記者たちに向かっておじぎをする。
いまの日本でさまざまな企業がひっきりなしに起こす不祥事の、いちばん表向きの後始末の風景だ。この様子はTVで放映され、新聞には写真が掲載される。〔…〕
その男たちのかもし出す雰囲気、顔つきや態度、人品骨柄などの、揃いも揃ってなんと言う貧相さであることか。
教養や見識、鋭い洞察力、洗練された戦略思考、充実した説得力をたたえた言葉など、いっさい期待出来ない様子は僕の受ける主観的な印象ではなく、彼らの現実なのだ。〔…〕
名刺の肩書なのだ。その任にあらずその器でもない人たちが、能力も意欲も自覚もないままに、社会のあらゆる領域で要職についている。
――謝罪する男たちの国
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■ 自分と自分以外――戦後60年と今|片岡義男|日本放送出版協会|2004年 07月|ISBN:9784140910061
★★★
《キャッチ・コピー》
片岡義男氏の体感した都市・東京の戦後50年。読む人すべての手を止め、自分の心にもあるかもしれない不安について考えさせる現代社会論。
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