« 山口瞳■ 忘れえぬ人 | トップページ | 町田康■ 正直じゃいけん »

2007.10.07

上田文世■ 笑わせて笑わせて桂枝雀

20071007uedawarawasu_2

中入り後、いよいよ『地獄八景亡者戯』が始まる。『地獄…』は、亡者になって地獄を旅して回る噺で、上方落語特有の旅ネタの一つだ。噺の進行に連れ随所随所に、これまた上方落語にしかないハメモノ(お囃子などの効果音)が入る。〔…〕

歌舞伎座での枝雀は、噺を盛り上げ盛り上げて途中で切らず、1時間25分を一気に演じきった。緞帳が下りても拍手が鳴りやまない。客は総立ちだ。

「師匠、カーテンコールです。舞台に戻って下さい」。楽屋に戻る途中の枝雀のところへ劇場の係員らが飛んで来て叫ぶ。舞台裏が大騒ぎになった。「えっ、どうしたらいいのです?」。枝雀は戸惑っていたが緞帳が動き出すと再び舞台に出て、深々と頭を下げた。

300年の落語史上で、カーテンコールが起きたのは、恐らく初めてのことだった。

この後、枝雀は「雀々とべかこが空気を作ってくれたお陰だ。ありがとう」と弟子に礼を述べた。

――えっ、カーテンコール?

*

*

■ 笑わせて笑わせて桂枝雀|上田文世|淡交社|2003 06月|ISBN9784473019899

★★★

《キャッチ・コピー》

幼少期、素人時代のエピソードから「緊張の緩和」の枝雀落語理論まで。ひたすら笑わせることだけにいのちを燃やし尽くした噺家・桂枝雀の生涯。

memo

枝雀が即座に作った小咄(本文から)

A 「おじさん、すごく深い、大きな穴、掘ってますね」

B 「うん、やっとここまで掘れたんだけどね」

A 「へえ、何で、そんなに大きな深い穴を掘ってるんですか」

B 「誰かがここに、大きな深い穴があるというんで、一生懸命掘って探してるんですけど、なかなか出てこないんです」

*

桂三枝■桂三枝という生き方

桂米朝■私の履歴書

|

« 山口瞳■ 忘れえぬ人 | トップページ | 町田康■ 正直じゃいけん »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 上田文世■ 笑わせて笑わせて桂枝雀:

« 山口瞳■ 忘れえぬ人 | トップページ | 町田康■ 正直じゃいけん »