« 川上弘美■ 大好きな本――川上弘美書評集 | トップページ | 嵐山光三郎■ 人妻魂 »

2007.10.19

橋本忍■ 複眼の映像――私と黒澤明

20071019hashimotohukugan

「今度のホンだけど……橋本君は、ドボルザークのニューワールドつて、知ってる?」

「ええ、レコードも持ってますし、好きな曲だから時々聞いてます」

「その音楽のニューワールドを原作にしたいんだけど……この意味分かる?」

「分かります」

私はズケッと一口で言い切った。〔…〕

「出だしは、第一楽章をそのままでいいし、第二楽章の黒人霊歌も、百姓達の苦悩には効果的に使える」

黒澤さんが領いた。なんだかほッとした感じである。

「それから軽快で、ひどく歯切れのいい第三楽章、これは前半のどこか調子のいいところだ。特にラスト、壮大なラスト……最後の決戦ですよね。ラーシ、ド、シ、ララの、フレーズの繰り返しで、波のうねりのように、どこまでもどこまでも、巨大に盛り上がって行く第四楽章……最後の決戦はこれ以外にないですよ」

黒澤さんは大きく二、三度領いた。心の底からの安堵が顔一杯の笑顔になって広がる。

「よかった……じゃ、橋本君、この『七人の侍』は、ニューワールドを原作にしてやってみようよ

――『七人の侍』Ⅱ

*

*

■ 複眼の映像――私と黒澤明|橋本忍|文藝春秋|2006 06月|ISBN9784163675008

★★★★

《キャッチ・コピー》

「羅生門」「七人の侍」「生きる」… 。黒沢明の絶頂期を支えたシナリオ作家、橋本忍はどのようにつくられたか。盟友・黒沢明との交友・葛藤を通じて描いた、すべての映画ファンに捧げる自伝。

memo

 出色の黒澤映画論。

田草川弘■ 黒澤明vs.ハリウッド――『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて

|

« 川上弘美■ 大好きな本――川上弘美書評集 | トップページ | 嵐山光三郎■ 人妻魂 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 橋本忍■ 複眼の映像――私と黒澤明:

« 川上弘美■ 大好きな本――川上弘美書評集 | トップページ | 嵐山光三郎■ 人妻魂 »