吉田篤弘・文/フジモトマサル・絵■ という、はなし
――たとえば読書。
電車の中で読みふけっていて、降りるべき駅に到着したとき、必ず「あと5ページで読了」というタイミングになる。小説であれば、物語は最終局面を迎え、手に汗を握ったりしているところだ。
ああ、このまま読んでいたい。
でも、降りないと。
読みながら降り、読みながら駅のベンチに腰かける。
『走れメロス』も『明暗』も『Yの悲劇』も『ドグラ・マグラ』も『80日間世界一周』も、そうして駅のベンチで読了した。
待ち合わせに遅刻したこともある。
が、ときに車中で読み終えてしまうと、なんだか味気ない気にもなる。
――「希有な才能」
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■ という、はなし|吉田篤弘・文/フジモトマサル・絵|筑摩書房|2006年 03月|ISBN:9784480803955
★★★
《キャッチ・コピー》
1枚の絵に触発された想像力は、思いもかけない世界へと読む者をいざなう―。全編、読書する動物が登場する、喜怒哀楽24本入りの小さな絵物語集。
《memo》
筑摩書房のPR誌『ちくま』掲載。表紙絵が先に描かれ、文が後追いだそうだ。吉田篤弘は〈クラフト・エヴィング商會〉名義も。
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