内田樹■ 街場の現代思想
ひどい話だ。
「努力したら負け」というのが、このゲームのルールなんだから。
「努力しないで、はじめから勝っている人が『総取り』する」というのが文化資本主義社会の原理である。
ひどい話だと私も思う。
しかし、日本は確実にそうなりつつある。
でも、文化資本主義社会にもひとつだけ救いがある。
それは、この社会における「社会的弱者」は自分が「社会的弱者」であるのは主に「金がない」せいであって、「教養がない」せいでそうなっているということには気がつかないでいられるからである(教養がないから)。
――第1章 文化資本主義の時代
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■ 街場の現代思想|内田樹|NTT出版|2004年 07月|ISBN:9784757140752
★★★★
《キャッチ・コピー》
生まれついての「バカ組・利口組」という身も蓋もない「階級社会」が出現しつつある!「おじさん内田」がそんな社会の仕組みを解説。身のまわりの根源的な問いが、初めて腑に落ちて納得できる本
《memo》
――「均質的すぎる」社会は「階層的すぎる」社会と同じように、どこかに制度疲労がたまる。私たちの社会がいまゆっくりフランス的な階層社会に向きつつあるのは、おそらくある種の歴史的な「補正」の作用が働いているせいだろう。
と著者はいう。
それにしても「一億総中流」社会に生きてきたわれわれに予想しえない過酷な社会が近づいてくる。
20~30代、必読。おなじみ内田先生の目からウロコ本。
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