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2007.10.20

嵐山光三郎■ 人妻魂

20071020arashiyamahitoduma

まったく、天は二物を与えてくれません。楠緒子が、せめて50歳まで生きていれば、漱石に対抗しうる名作が生まれていたと思われます。漱石の小説は残ったのに大塚楠緒子を知る人は、ほとんどいなくなりました。〔…〕

天下の夏日漱石をふり、おだやかな夫に守られ、自分の才能を思い切り出しきった楠緒子は、これ以上の幸せはない人妻であったことがわかります。ぜいたくすぎる35年の生涯でした。

楠緒子が亡くなったことを知らされた漱石は、

有る程の菊なげ入れよ棺の中

という句を手向けました。

追悼句ではありますが、まるで恋の句ではありませんか。漱石は、楠緒子が亡くなって、はじめて恋心を告白したのです。これは、ライバルでなければわからぬ恋情といってよいでしょう。

――漱石を失恋させた女

*

*

■ 人妻魂|嵐山光三郎|マガジンハウス|2007 08月|ISBN9784838717415

★★★

《キャッチ・コピー》

人妻→官能→嫉妬→不倫→離婚→再婚→流浪→淫乱→堕落→覚醒→心中→自立→遊蕩→熟成→昼寝。人妻はやっぱりステキです。

 漱石、鴎外、鏡花、芥川、安吾の妻、そして白秋の三人の妻、さらには与謝野晶子、平塚らいてう、林芙美子から幸田文、武田百合子まで、明治大正昭和を彩る人妻53人が勢揃い。

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