藤原正彦■ 日本人の矜持――九人との対話
藤原 いまの子供たちはほんとうにボキャブラリーが貧困で、百か二百の言葉で日本語を
話していますが、これは由々しき事態です。
たとえば「好き」「嫌い」の二つしか知らない人間はほんとうの恋愛ができず、獣のようにしか愛し合えない。「密かに慕う」「恋い焦がれる」「一目惚れ」「横恋慕」などさまざまな言葉を知ってこそ、恋愛のひだも深くなる。
語彙というのは思考とほとんど同じです。
ボキャブラリーが貧困な人は論理的な思考もできず、自分の考えを説明することすらままなりません。論理的思考を養うには数学ではダメで、自らの主張を書いたり話したりするのがいちばんです。
――佐藤愛子・藤原正彦「心があるから態度に出る 誇りが育む祖国愛」
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■ 日本人の矜持――九人との対話|藤原正彦|新潮社|2007年 07月|ISBN:9784103274063
★★★
《キャッチ・コピー》
日本が誇りと自信を取り戻すために―。胸に響く対話篇。
齋藤孝/中西輝政/曽野綾子/山田太一/佐藤優/五木寛之/ビートたけし/佐藤愛子/阿川弘之
《memo》
上述の対談で、藤原氏「文明は確実に進んで生活は進歩しているけれど、文化や人間性は後退期に入っている」とも。
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