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2007.10.18

川上弘美■ 大好きな本――川上弘美書評集

20071018kawakamidaisukina

それなのにわたしが丸谷才一の本を読まなかったのは、その父自身が言った、「きみのような若い娘にはまあ、この本のよろしさはわからんだらうね」という、言葉のせいなのである(あの時丸谷才一の文章の歴史的仮名づかいをまねて、父はたしかに「だらうね」と発音した)。

うふふふふ、という顔を、その時父はしていた。

きみたち若い者に、それも女に、この作家のよさがわかってたまるものかね。〔…〕

月日は過ぎ、「若い娘」は「そう若くはない女」になり、そのうち「ぜんぜん若くない女」になっていった。

「そう若くはない女」になったころ、初めてわたしは丸谷才一の本を、読んだ。

ずるい。

というのが、齢三十であった当時のわたしの感想である。

ずるい。これ、若い娘が読んだって、じゆうぶんによさがわかるぢやあないの(「ぢやあないの」とここはぜひ書きたい)。

*

*

■ 大好きな本――川上弘美書評集|川上弘美|朝日新聞社|200709月|ISBN9784022503237

★★★

《キャッチ・コピー》

えもいわれぬ読書体験。つつしんでお勧めする144冊。

memo

 著者の書評は、書評にとどまらず、どれも独立した一編のエッセイ、コラムになっている。

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