« 神保哲生■ ツバル――地球温暖化に沈む国 | トップページ | ジュディ・バドニッツ/岸本佐知子:訳■ 空中スキップ »

2007.11.08

永島慎二■ ある道化師の一日――遺稿集

20071108nagashimaarudoukesi

寒い春が過ぎて、大好きな5月を迎えた私は、庭の陽だまりの中で何匹かの野良猫共とボンヤリ過ごす日々にも飽きたので、

ああ……心がひとすじに打ち込めるそんな時代は再びこないものか」

などと唄うようにタメ息のようにつぶやいて、とりあえず町に出てみるかと思い重い腰を上げたのだった。〔…〕

私は職業漫画家である。したがって質の良いまんがを描くのが仕事である。なのにここ数年漫画が描けないで生きている。質の悪いまんがすら描けないのだ。

大きなスランプに入って4年目になるが、その結果したたかに貧乏になり、1年中手元不如意となって、不自由ではあるが、それ程つらいと思わないようにしている。

年に何度か季節の変り目などに、〝死にたい〞と発作的に思う事もあるが、これも試練だと自分に云い聞かせては、わが阿佐谷村をあてもなくのんびりブラブラ散歩をするのである。

最後に笑うのは、どー考えても俺なんだという確信のようなモノをひとつ、ポケットに忍ばせて。

――「阿佐谷村の午後」

*

*

■ ある道化師の一日――遺稿集|永島慎二|小学館クリエイティブ/小学館|2007 08月本|ISBN9784778030438

★★★

《キャッチ・コピー》

漫画・エッセイ、油絵・木版画、日記・手紙まで、その伝説的な生涯が初めてこの一冊にまとまった! 青春漫画の教祖が残した、初蔵出しの貴重な遺稿集。

|

« 神保哲生■ ツバル――地球温暖化に沈む国 | トップページ | ジュディ・バドニッツ/岸本佐知子:訳■ 空中スキップ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 永島慎二■ ある道化師の一日――遺稿集:

« 神保哲生■ ツバル――地球温暖化に沈む国 | トップページ | ジュディ・バドニッツ/岸本佐知子:訳■ 空中スキップ »