宮嶋茂樹■ 不肖・宮嶋のビビリアン・ナイト(上)爆弾ボコボコの巻
「ドーン!」
文字通りベッドから転げ落ちた。窓ガラスの向こうが真っ赤や。〔…〕カメラを引っ掴み、ベランダに出る。近い、近すぎる。隣の大統領宮殿が目標である。
眼前に閃光が走る。間髪をおかず「ドーン」。同時に熱風が襲ってきた。衝撃波である。
こんなに熱いものか……、衝撃波というよりモロ爆風である。熱い、しかも強烈である。〔…〕
こんなことを予想して、ちゃーんとフランスはジッツォ社のライトウェイト・カーボンロッドの三脚をスーツケースに詰めてきた。落ち着け。落ち着くんや、まだ炎は上がっとる。
また閃光、そしてドーン! 再び閃光、ドーン!
爆風に襲われた顔が火傷しそうなくらい熱い。〔…〕
カスッ。バルブ・シャッターが再び閉まる。フィルム・カメラと違い、デジタルはシャツター・スピードと同じ時間、データをなんとかカードに書き込むのにかかる。つまり15秒間のバルブ撮影だと書き込みに15秒間かかり、その間、カメラは書き込みに大忙しで、次の撮影はできんのである。その時問がもったいなく、じれったい。
ピッカー!ドーン!
スゴイ!スゴイ!これはスゴイ!
バグダッドに来て、本当によかった。こんな光景、世界のどこで見られるというのであろう。
――「大統領宮殿、炎上す!」
*
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■ 不肖・宮嶋のビビリアン・ナイト(上)爆弾ボコボコの巻|宮嶋茂樹|都築事務所/祥伝社|2007年 08月|ISBN:9784396693244
★★★★
《キャッチ・コピー》
あの時、バクダッドでなにが起きていたか。不肖・宮嶋の迫真ドキュメント・シリーズ。
《memo》
2003年、対イラク戦争開始前後のバクダッド、おなじみ宮嶋ぶしでマスコミ・ゲリラたちの生態を“ライブ中継”。
*
「まえがき」から……。
いったい、この戦いは何やったのやろう。国籍を問わず、積み上げられた屍の山に、どんな意味があるというのであろう。それは、この本を読んでもわかりません。書いた私にもわからんのだから……。ここに記すのは、あの時、バクダッドで何が起きていたか、それらに不肖・宮嶋がどう対処したか、それだけです。
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